2005/秋 コンサートツアーのお知らせ
宮廷の愛の語り部
今日のクラシックの演奏会では即興演奏はほとんど行われていません。私はこれにちょっと不満を持っていて、しかもバロック音楽は即興の宝庫でもあったはず。そこで、歌の語感を大切にしてきた自分の方法や朗読法、デクラメーシォンといったものを中心に即興演奏を中心にくんだコンサートを企画しました。
そういう意味では、今回のツアーは演奏家として、声楽を教えてきたものとしての音楽活動のマイルストーンとも言えるものです。
とはいっても、私がこれまで全く即興を行っていなかったと言うのではなく、たとえば、コンサートの歌手の伴奏を務めるときに、歌手の「音取り」のために音を一つポーンと出すのはみっともない。そこで、トッカータ的にその曲につながるような即興をそこで行うようなことはよくありました。
今回の演奏は「決まったバスの上に、作曲家の歌にインスパイアされて、その作曲家に近くて遠い曲をその場で作り出す。」にあります。
そのバス旋律は「ルッジェーロバス」「ラメントバス」。バロック期のイタリアで大変流行した旋律の一つです。
これらの旋律の起源はグレゴリオ聖歌にあるようで、いろいろな旋律がグレゴリオ聖歌からとられてきました。
今回はイタリアの作曲家をメインに取り上げましたが、今後はフランスものもやっていきたいと思っています。
最終的にはお客さんからテーマをもらって演奏するようなコンサートもやってみたいと思っています。
今回は、私のヴィオラ・ダ・ガンバ、 高本一郎さんのキタローネをバックに、私自身の即興の歌、演奏を行います。 曲目は オルティス、カッチーニ、モンテヴェルディなどの歌曲、器楽曲です。
会場、日時などはこの下をご覧ください。
なお、
CNプレイガイド
で、インターネットから予約できる日もありますので、
こちらをご覧ください。
では、コンサート会場でお会いできるのを楽しみにしております。
演奏曲目
Diego Ortiz | Recercada (viola da gamba solo) |
Giulio Caccini |
Amarilli mia bella “Le Nuove Musiche 1602” Improvvisazione su “Amarilli mia bella” アマッリリのテーマによる即興演奏(ヴィオラ・ダ・ガンバ) Sfogava con le stelle(Declamazione) Dolcissimo sospiri(Declamazione) Io oparto,amati lumi Occhi immortari |
Francesco Ragi |
Ahi, fugitivo ben Aria sopra’l Basso di Ruggiero Improvvisazione sopra’l Basso di Ruggiero ルッジェーロバスによる即興演奏(ヴィオラ・ダ・ガンバ、キタローネ) |
Giovanni Ferice Sances |
Usurator tiranno Aria sopra’l Basso di Lamento con l’improvvisazione sopra’l Basso di Lamento ラメントバスによる即興演奏(ヴィオラ・ダ・ガンバ、キタローネ) |
Claudio Monteverdi |
Eri gia tutta mia Ohime chio cao Si dolce’l tormento |
演奏会場・開催日
岡山 9/24(土) 19:00岡山市立オリエント美術館
岡山市天神町9-31 → 地図
TEL 088-232-3636
市電:東山行き「城下」下車徒歩2分
お問い合わせ・チケット
上山 TEL 086-264-6624
チケット:3,500円(美術館会員割引あり)
インターネット予約はこちら→
大阪 9/25(日) 15:00
アートコートギャラリー
大阪市北区天満橋1-8-5 → 地図
OAP アートコート 1F
<OAPアートコートクラシックス>Opus16
JR環状線:「桜ノ宮」駅下車徒歩10分
帝国ホテル南側沿い
お問い合わせ・チケット
Poo TEL&FAX 06-4253-1230
チケット:4,000円(飲み物付き)
インターネット予約はこちら→
札幌 10/1(土) 19:00
ザ・ルーテルホール 札幌ルーテルセンター
札幌市中央区大通西5-3-1 → 地図
地下鉄南北線:「大通」駅下車徒歩5分
お問い合わせ・チケット
大龍 TEL 090-1309-5993
チケット:3,500円
旭川 10/2(日) 17:00
ヴィラ・ヴィオレッタ 市川邸サロン
旭川市神居町上雨紛541-4 → 地図
お問い合わせ・ご予約
市川 TEL 0166-62-1144
チケット:10,000円(パーティー付き/要予約)
東京 10/9(日) 17:00
東京オペラシティ3F・近江楽堂
東京都新宿区西新宿3-20-2 → 地図
TEL 03-5353-6937
京王新線:「初台」駅下車オペラシティ方面出口徒歩3分
お問い合わせ・チケット
松木アートオフィス TEL 03-5353-6937
チケット:4,000円
インターネット予約はこちら→
広島 10/14(金) 19:00
広島市東区民文化センター スタジオ1
広島市東区 東蟹屋町10番31号 → 地図.
TEL 082-264-5551
広島駅:新幹線口より徒歩 東へ800m
お問い合わせ・チケット
池田 TEL 082-221-1885
チケット:3,500円
山口 10/15(土) 19:00
山口信愛教会
山口市後河原138(県立図書館裏) → 地図
TEL 082-264-5551
お問い合わせ・チケット
河本 TEL 090-3633-4189
チケット:3,000円
尾道 10/29(土) 19:00
ミュージック&ティーサロン ミュゼッタ
尾道市西則末町4-30 → 地図
お問い合わせ・チケット
ミュゼッタ TEL 0848-25-4022
チケット:3,500円(飲み物付き)
名古屋 11/4(金) 19:00
スタジオ・ルンデ
名古屋市中区丸の内2丁目16番7号 → 地図
地下鉄:「丸の内」駅より徒歩2分
お問い合わせ・チケット
スタジオ・ルンデ TEL 052-203-4188
チケット:4,000円
インターネット予約はこちら→
津 11/5(土) 18:00
三重県立美術館エントランス・ホール
三重県津市大谷町11番地 → 地図
JR/近鉄:「津」駅より徒歩10分
三重交通バス循環:「美術館」下車
お問い合わせ・チケット
三重県立美術館 TEL 059-227-2100
チケット:3,500円(美術館会員割引あり)
宮廷の恋の歌
時代が移り変わって行くとき、芸術は先を争って先行しようとしますが、1600年頃のイタリアでは特にそれが顕著にみられます。音楽の世界では、バロック時代が幕を開けるのです。我が国日本では「関ヶ原の合戦」があった頃のことです。
ルネッサンスは人間が自分自身を主題とした時代といえますが、それに対してバロックはデカルトの出現によって表されるように、人間は自分自身の原理(考えるという事)を自覚する時代になりました。Ogito ergo sum すなわち(私-考える-自我)という図式の下に、人類の歴史が近代を迎えた新しい時代であるとも言えるのです。
この時代の音楽家の中にあって、今日特に注目されているのがC.モンテヴェルディです。彼は、マドリガル集第5巻(1605年ヴェネツィア)の序文の中で 「セコンダ・プラティカ」 という新しい音楽理念を唱え、時代の幕開けを宣言しました。彼の理念とは、一言で言えば、「音楽は語るもの」
詩人の魂から迸りでた「言葉」、それは作曲家の感性を刺激します。そして演奏家が、詩人の魂と作曲家の感性に肉薄していきます。そこで歌われるものは、「恋の歌」
詩人がいて、美しい乙女に恋をします。しかし乙女は他の男性が好き、だから、詩人は悲嘆に暮れ、乙女に向かって「なんとむごい仕打ちをするのだ」と嘆く...。
これが定型の図式で、宮廷の愛の容なのです。「恋の歌」、そこではメロディーよりも歌詞がより大事にされ、言葉のリズムが音楽のリズムと完全に一つになっています。「音感」よりも「語感」と言い直すこともできます。
また、この語り口を「デクラメーシォン(英)、デクラマシオン(仏)、デクラマツィオーネ(伊)」といい、最近に至るまでのヨーロッパで一般的であった演説法、弁論術、演技法でした。因みに最後の偉大な「デクラメーシォン」の名人はJ.F.ケネディであったとも言われています。
今回の企画は、このモンテヴェルディと、彼の唱えた「セコンダ・プラティカ」の旗手たちである作曲家の作品の中から、「恋の歌」と題して、当時の歌曲集より選び出した「恋の歌」を中心に置き、軽やかなソロ・マドリガルや有節歌曲をその回りに集め、「宮廷の恋の嘆き」をより鮮烈にしてお聞きいただこうというものです。中では「アマリッリ麗し」といった、いわゆるイタリア古典歌曲として知られている曲も演奏されます。
また、特別企画として、「アマリッリ麗し」、「ラメント・バス」、「ルッジェーロ・バス」に、バロック時代の代表的なソロ楽器であったヴィオラ・ダ・ガンバで即興演奏しようというものです。「アマリッリ麗し」は、当時の多くの作曲によって器楽曲に編曲されました。それを今回は、演奏者自身が即興で演奏しようと言うのが試みです。
- 2005年09月11日17:29
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