内弟子のひとり言 その1

雑記帖

先日、師匠が「息抜きに」と、散歩に連れて行ってくださいました。師匠宅の周りは、国道が裏に走っているものの、一歩中に入ればとても静かな地域です。
車では通ったことがある道も、歩くと色々なものに気付きます。視覚的なものもそうですし、そこの地域の香りだったり、音だったり・・・。
家から6、7分ほど歩いて坂を上っていくと、そこは山の頂上で、横浜や鎌倉、逗子が一望できました。師匠宅は、三浦丘陵の始まりあたりにあるんです。色々な建物が建ってはいるものの、まだまだ緑が沢山残っているんだなぁと、昔の人たちが見ていただろうと思うような景色が広がっていました。
そこから少し山を降りると、大きな緑園公園がありました。適度に手入れがされているので、木漏れ日も適度に入り、色々な植物や樹々も元気に育っています。5月になると山百合が咲き誇るんだそうです。
雨上がりだったので、ぬかるんでいる道を慎重に足を進めていると、「帰る迄に一句詠みなさい」と・・・。日常もレッスンだと痛感しました。
歩いていると台湾リスが出てきたり、モグラが土の中から出て来たと思われる穴が沢山あったり、湿原の池には鷺やカワセミもでるそうです。横浜もこんなに自然が多いのかと感激していましたが、師匠曰く、台湾リスはもともといた日本リスを食べてしまったのだと。生態系が崩れてしまっている現状も目の当たりにしました。
さぁ、肝心の一句、なかなか出来ません。師匠は「まーだ出来ねぇのか?!」と言いながら、「例えば。。。」と、次から次へと俳句を詠んで行きます。さすがです。。。
感じた事を言葉にする事は、すごく重要ですが、難しいですね。私は小さい頃から本を読むのが苦手で、ようやく最近になって本が好きになりました。ボキャブラリーを今から少しでも補っていく事と、感じた事を言葉にする事を同時進行していかないとあっという間に三十路になっちゃうと焦っております。
肝心の一句ですが、時間がかかりながらも何とか出来ました。

雨上がり苔むす路の竹藪に
ひそりと佇む道祖神あり

緑園公園の出口付近が竹藪になっていて、恐らく鎌倉に向かうための昔の道だったんだろうと思うのですが、その道の傍に道祖神がありました。その竹藪の風景に佇む風景がとても印象的だったので、それを詠みました。師匠に見せると「最初の三行で色々と言い過ぎて、視線があちこちに行ってしまう。見ていてウザい」と(笑)さすが、厳しいお言葉です(笑)
この短歌を「俺なら」と

雨上がり苔むす路の傍に
道祖神ありてひそり ひそり

そしてさらに一句続けて、

雨上がり水滴落ち来たり道祖神
我の行く手に暫し留まれ

うーん、なるほど・・・!
面白い!こうやって詠み合う事を、昔の人たちは楽しんでいたのかと。なんて日本人って素敵なんだろう、と、感激しました。
苦戦はしましたが、師匠に「また連れて行ってください」と頼みました。 とても素敵な休日でした。


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