チェンバロにペダルを

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群馬・大木さん宅でのレッスンの後、
帰りの車内にて。

弟子
先生、"チェンバロでもペダルを使っているように"と レッスンでおっしゃってましたが、それは・・・どういうことですか?

宇田川
うん・・・じゃあね、"ドレミファソ~♪"というメロディーを レガートに聞こえさせようと思ったら、ピアノではどうする?

弟子
えー・・と・・・音の響きの中に・・・残りの・・・音を・・・・・・・

宇田川
そうそうそうそう。そういうことだよ。
ドの指を戻す前に、レを弾くんだよ。
ドの鍵盤が元に戻ってからレを弾くんじゃなくて。
ほんの少しの時間だけドもレも鳴っている時間を作るといってもいい。
鍵盤っていうのは、 ほっとくと「トントントントントン」ってマルカート すなわち1つ1つの音がいちいち減衰してしまうから そのマルカートを聞こえないように 前の音が鳴っているうちに、次の音を優しく入れて いかにもレガートのように聞こえさすんだよ。 つまりこれが"オーバーレガート"の方法論なんだね。

弟子
なるほど~・・・。
結果としてそれが、チェンバロでもペダルを踏んでいるように聴こえると・・・!

宇田川
そう。そういうことだ。
じゃあさ、君にわかりやすく声で考えてみるとさ、
声帯の場合は、母音が鳴り終わるのと入れ替わりに 今度は口の先端でする子音が始まれば レガートに聞こえるわけでしょ?
声楽や管楽器は、二つの音は同時には出せないから オーバーレガートができないわけだよ(笑)

弟子
逆に鍵盤楽器には子音がないから・・・(笑)、 その子音の役目がオーバーレガートなんですね

宇田川
そう、そうなんだね。
弦だとさ・・・ まぁ・・・、和音をレガートで弾こうとするとき たとえば 4本の弦を下から順番に「ドミソド」って弾くと C-durの和音になる。
基本的にはこの4つの音をアルペジェする、 もしそれらをオーバーレガートすると
まず、ド だけがが鳴って 、次に
ドとミ が同時に鳴って、
今度は、ミ だけが鳴って、次に
ミとソ が同時に鳴って
今度は、ソ だけが鳴って、次に
ソとド が同時に鳴って
とうとう ド になる・・・みたいなね。

それが、つまり オーバーレガート・アルペジエだけど、
同じC-durのアルペジエするだけでも
「ドミソド」って順番に4つの音として単純に弾くのと
片や、
「ドミソド」の間に
6つの音が・・・ あ、7つか。この2種類あるとすると

それを4つの音のアルペジェで弾くのとは、全然響きが違うよね。
そういう意識を持っているか、持っていないかで 随分違うんだよ? 音の厚みが。

弟子
なるほど~・・・!!

宇田川
ま。でも、いつもオーバーレガートが良いわけでもないけどね(笑)


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