ブラームスディ後日談

コンサート

さてさて、ここでブラームスディの後日談。
宇田川家の、ある昼さがり。
師匠と奥様の理恵さんがブラームスデイを振り返ってお話をされていました。

師匠
二日くらいあると理想だったなー。

理恵さん
そうね、詰める日と、発表する日みたいな感じで。 それと、 例えば聴いている人も、意見が言えるような場が作れたらいいよね。 意外とさ、お家の事情を知らない人の方が 別の方向から切り込んでこれたりする可能性もあるでしょ。

師匠
なるほどね。

理恵さん
でもそうなると、2 日間聴衆も拘束してしまうことになるけど。

師匠
まあね、でもしょうがないんじゃない? 譜面を渡しておいてさ。 それでちょっと意見をしゃべってもらったりなんかするといいよね。

理恵さん
そういう人が容赦ないことを言ってくる可能性があって、おもしろいよね。
今回はそうやって話してくれるのを期待してたんだけどねー(じろり)

師匠
だはは!だっておめー、そんなヒマなかったじゃねーか!(笑)
  みんな必死でさ。まあ、次回のときはしゃべるよ。

理恵さん
そうしてください(笑) まあ、今回は1 回目っていうこともあってね、
集まった人たちだって様子がわからずに集まって・・・
今回の収穫の中の、何が一番大きかったかっていったら 演奏者の立場からすると、「目的なくさらう」んじゃなくて、「目的を持ってさらう」と、ぶっつけで合わせても、あのくらいまでいけるっていうことが、それぞれが分かったもんだから、「それじゃあ本番もそうやってできないか!」っていう勢いになってくるよね。

師匠
そうだね。 だからほんとは最初のリハーサルでみんなそのくらいさらってきたら 効果があんだよな。

理恵さん
そうそうそう。

師匠
まぁ、 歌ありの、器楽伴奏つき歌ありの、 ピアノトリオあり、ピアノカルテットあり・・ これで弦楽四重奏でもあれば、全編にわたって揃うって感じかな。

理恵さん
うん、贅沢だねー。

師匠
ピアニストもこんなたくさんいるんだから ピアノソナタみたいなのがあってもいいんだよね。 チェロソナタもね。

理恵さん
あははは。   次回で弾ければ!・・・弾こうかな。

師匠
ぜひぜひ!      ・・・

理恵さん
だけどさ、のっけがブラームスってすごいよね。

師匠
あはは!しかも真夏にね(笑)

理恵さん
そう、真夏。すごく暑くるしいブラームスっていう・・・(笑)

師匠
あげくにエアコンが壊れたっていう!(爆笑)

理恵さん
もう、なんかね 指板の上を・・・汗で指がすべっている、っていう感じ(笑) ・・・

師匠
そういえば、   ヴィオラの田川さん、よくさらってあったなー。

理恵さん
そうねー。 やっぱりね、同じ楽器やる人でも、室内楽に慣れてる人・・・っていうのかな、ずっとそれをやってきてる人と、いわゆるソロやオケだけしか弾いてない人っていうのは 全然違うよね。
同じ譜読みができてても全然違うよね。

師匠
何が全然違うんだろう?

理恵さん
そうねー・・・・ やっぱり和声的なこととか、旋律的なことの、「自分の役割」っていうのをずっと考えて弾いているっていうことかな。パート譜だけじゃなくて、スコアも勉強してるし 音源も聴いたりしてるし。
どういう風に音楽ができ上がってるか、っていうことを 最初から考えてる。
「その中の自分はどこにいる?」っていうことを、ね。
でも不思議よね、室内楽でそこまで考えて弾いてるのにオケの仕事にいくと全く・・・違うよね(笑)
他力本願というか(笑)

師匠
指揮者がいるしね。みんなone of them だしね。 自然とそうなっちゃうんだよね。 だからひとりずつがいいんだよ、アンサンブルは。

理恵さん
ほんとだね。   ・・・

師匠
ブラームスデイの本番を思い返してみるとさ、 最初のリート (・An eine Aolsharfe  アイオロスの竪琴によせて 作品19-5  Sop&Klavier ・Wie Melodien zieht es mir 歌の調べのように何かが過ぎり 作品105-1 Sop&Klavier ) は、ピアノの主張がもう少しあるとよかったかな。 逆にいうと トリオ( ピアノ三重奏曲 第3番 ハ短調 作品101)なんかは それを弦楽器の二人が抑えきれないっていうか、 ピアノが先に行ってしまったらできないのかもしれないけど・・・。

理恵さん
もうそれはそこについていくしか・・・

師匠
うん。

理恵さん
自分に絶対的なソロとかある場合はぐっと踏ん張ろうと弾くことはできるけどそれが長く続くことってあんまりないじゃん。
特にチェロの場合なんかは一瞬のメロディーだからまたすぐ引き戻されちゃうよね。

師匠
まぁただ、低音を支えるという意味ではブラームスが作曲するのに、 彼はいつも「低音」「低音」って言っていたそうだから そういう意味では、低音奏者の役割っていうのは自然と期待されるよね。
あと、あのビオラが入るリート ( Zwei Gesange 二つの歌 作品91 Alt &Viola& Klavier)はくはないんだけどもう少しデュエットっていう質感があるといいかな。
なんかまだ「合わせてる」って感じがあるよね。

理恵さん
でもね、おもしろいもので、 そういうのも普通にこうやって、「今日合わせです」って集まった時点でもまだほんのちょっとの遠慮があるうちには「合わせです」のレベルから抜けられないんだよね。

師匠
そりゃそうだね。 ま、でもそういうところで 自分の主張をビシ~っと言うっていう訓練は必要だよ。
しかも「一回目」で、な。

理恵さん
それと、私が普段カルテットをやっていて大事にしたいと思っているのは   向いてる方向を揃えたいなぁと思ってて・・・

師匠
うん、それは難しいことだよねー・・

理恵さん
ま、一緒にご飯食べるっていうのが手っ取り早いけどねー(笑)

師匠
はははは まあそういう意味では
最後のカルテット( ピアノ四重奏曲 第3番 ハ短調 作品60)が一番クオリティー高かったかなー。 ・・・
  その、さ。
トータルでは、「後期ロマン派の音楽」っていうのは すごくサイズがでかいし、すごくロマンティックなもののいいようなので 音も高いし、大きいし いつもそこは「神経質」になる可能性が高いんだよね。サウンドそのものが。 「ぎゃおー」って(笑)
そこらへんがクリアできるといいよね
だから歌い手さんなんかにとっては ある程度 afterヴェルディみたいな歌い方が必要になってくる可能性があるね。 ロッシーニのような歌い方ではいかない。
サイズのでかい音楽を作ってかなきゃいかないから。
ただどうも、ブラームスは 「ぎゃおー」っていう歌い手さんは好きではなかったみたい。

理恵さん
あー、ブラームス自身がね?

師匠
うん。そうそう。

理恵さん
だけどあれだけメロディーを大事にしてさ   色々注文つけたりする人がさ、     やっぱり「ぎゃおー」(笑)を好きじゃないっていうのは分かるよ。

師匠
うん。

理恵さん
上手な歌い手がブラームスのそばにはいた?

師匠
いた。 わりと、ものすごい親密に付き合った イタリア人のソプラノさん ( 注1) で、ものすごく優秀なのがいた。
ギリギリで別れてしまったけど。ブラームスがウィーンに行くちょっと前に そのイタリア人の彼女と オール・ブラームスの演奏会をやったりしてるみたいよ。

理恵さん
へえ・・・

師匠
当時はね、 歌曲だけで演奏会するっていうことは ほとんどなかったみたい。

理恵さん
どういうこと? 当時の演奏会っていうのは 歌あり、室内楽あり、最後にオーケストラが 2曲くらいあり。

理恵さん
えーーー!!!そんなコンサートだったの?!

師匠
そう! ほとんどそんなコンサート。

理恵さん
へえー・・・・・

師匠
ほとんど20 世紀になってからくらいだよ、 オケならオケだけの演奏会っていうのは。 例えばショパンのデビューコンサートだとショパンの書いたピアノコンチェルトとピアノとオケのための作品が 前半と後半に一曲ずつあって 歌ありの室内楽ありの・・・ そのときにはそれはショパンの曲でなかったりする。

理恵さん
へー・・・!!それってどんなんだろう・・・

師匠
ほとんどそういう演奏会! そのときの歌い手さんなんか 「 Gesang.(Lieder )」って書いてあるだけ(笑)プログラムも当然なくて 現場に行ってみないとどんな曲が、どんな風に歌われるかも 誰が伴奏するかも分からない。
  ただ、歌い手さんの名前は最初からチラシにでてる。 ・・・
そんなコンサートしてみたいと思ってるんだけどなー!

理恵さん
それってちゃんとしたコンサート?

師匠
ああ! ウィーンフィルの定期でもそう。
ウィーンフィルだけで演奏会やるなんて、ず~~っと後のこと。
だから、オケが一晩分曲をさらうなんてことなかったんじゃないかな。 例えば、ドイツレクイエムを演奏するときでさえ 前半だけしか演奏しないこともあった。 だから、普通にこういう演奏会っていうのは もう色んなのがあり、だったんだよ。 たいてい、歌と、室内楽と、オケ。
だからこういう風にブラームスデイとして集めたかったんだよ。

理恵さん
そうだね。
  ・・・
やっぱりさ、こういう会をやるっていうのは室内楽志向だよね。

師匠
そうだね。室内楽志向だよね。 そういう志向で、歌い手さんとピアニストが 室内楽の様相でできたらいいと思うんだけど。

理恵さん
うんうん。

師匠
次回は・・・・2月!だな! 今度はベートーベン! それも「若い」ベートーベンっていう風にしたいんだけど。  「恋する Beethoven」っていうタイトルでもいいな(笑)

理恵さん
いいねー!

師匠
特定して何年以前・・・っていう。 誰かピアノソナタ弾いてくれるといいなー。
チェロソナタがあって
歌があって
ピアノトリオ伴奏の歌があって
ピアノトリオがあって
いろんなことできるな。
あ、ピアノクインテットもあるな。
あの木管のやつ、
あれ弦楽器でやると綺麗なんだよ。

理恵さん
へ~ そうなんだ。   なんかさ、そうなるとこの企画って   2 月と8 月の、   寒い時期と暑い時期の恒例の催しになりそうね(笑)

師匠
いいんじゃないの~(笑)   いや~、 次回も楽しみだ。


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